「お知らせ」のページに掲載していたニューモデルの開発記録がだんだん増えて、 削除してしまおうかと思ったのですが、けっこうな時間と資金を注ぎ込み、それなりに 苦労もした滑ったり転んだりの記録なので消してしまうのは忍びなく、新しいページに 引っ越す事にしました。
12ft.#7・8・9。
前回お知らせしたニューモデル(のはずだった)ロッド、結局組んではみた
もののビミョーに気に入らないところが何か所か見つかって、ボツにしました。
気が急くとロクな事はありませんね。
で、「迷った時はふり出しに戻れ」という事でテーパーデザインから・・・。
2本とも作り直したのですが、見た目は同じ形なので写真は1本だけ。作っている間に
思いついたのですが、1本は今までと違うテーパーのとりかたでバットを製作。トップと
ミドルセクションはまったく同じ。
シングルハンドでうまくいった方法がツーハンドでも通用するか?
作ってみたかったのはこんなロッド。きれいなカーブでしょ?
スカジットキャストが目的の竿ですが、スカジットキャストはスペイキャストの
ペリーポークと同じ(だと思う)。で、CNDのスペイライン#5・6で試したところ、
シングルスペイで何なくクリア。一人で納得。
利根川や荒川で会う達人達には今まで通りの構造のバットの方が振りやすいようですが、
たぶんグラファイトロッドと共通する部分があるからだと思います。パラボリックの方は「竹竿
のイメージ」という事で全員一致(ちょっと偏見入ってません?)。
2本ともインタミとフローティングテイップなら420gr.のヘッドまではテスト済みです。
3Mのインタミヘッド(400gr.)も自作のSA-10、2mのティップを付けてノンストレス
でクリアしました。
ボツにしたロッドの再生可能品(リールシート・バットエンド・フェルール・ガイド)はすべて回収。 グリップの断面が面白かったのでついでに・・・。 |
ロッドの性能についてはまだ確認しきれていませんが、キッチンスケールで量った
重量は、スタンダードの方が約382g、パラボリックの方が約378g。
今度の2本はボツにしなくても済みそうなので、興味を持たれた方はご連絡いただければ
試投できます。
関東地方は早々に梅雨入りしましたが、雨の合間をぬって荒川でテスト。
テストロッドはSKAGIT1208のテーパーをマイナーチェンジしたもの。
少しティップを強めにして、頭が重くなった分ミドルを微妙に修正。
キャスト時にバットに入ってくる感じに気をつかいながらバットにも修正をくわえて、
「450gr.のヘッドを軽くキャストできる(はずの)ロッド」が完成しました。
アンダーグリップとリールシート。 スペーサーは栃の縮み。 スレッドカラーは206ガーネット。 |
今回はキャスト時の竿の曲がりをご紹介できなくて残念ですが、かなり 「イイ感じ」に仕上がったと思います。ティップとミドルのバランスも良く、 1207では「少しバットに入り過ぎじゃね?」と指摘されたところ(ま、好みですがね) も解消できました。スカジットヘッドはキャスティングだけなら420gr.くらいが 無理のないところかも・・・。セオリー通りに竿を動かせばラインは勝手に飛んで行きます。
これもテストロッド。
新しく組み立てたテーパーなのでフェルールとガイド以外は全部「まに合わせ」の
仮組みです。コンセプトは「12ft.ながら湖でも使えるようなロッドはできないものか」。
1208でも充分使用できるはずなのですが、も少しパワーを・・・と欲張りました。
グリップまわり。 チノクロスを巻いてシュリンクチューブを かぶせ、アセテートテープで前後を固定。 リールシートなし。 |
フィーリングは先にご紹介した1208のマイナーチェンジ版と同じで、も少しパワフルにと
組み立てたテーパーです。フェルールを打ち、接着剤が完全硬化する前につないで揺すって
みたところ、少しバットが強いかなという感じがありましたが、硬化後にちゃんと
振ってみたら「いけそう!」という事で仮組みしました。
あまり期待すると後の落胆が大きいという事がよくあるので、気持ちを抑えながら420gr.の
フローティングラインを試投。一瞬ですが、誰もいない雨の合間の河原で竹竿持ってニヤつく
アブナイおっさんになりました。テーパーに手を加える必要はないようです。これほど想定通り
にドンピシャな事はそうそうあるものではありません。すぐに本組みします。
ツーハンドロッドでず〜〜っと気になっていた事があったのですが、やっと
踏ん切りがついたので手をつける事にしました
ツーハンドに手を出してから9ft.から14ft.のモデルを作ってきましたが、デモロッドを
振っている間に気が付いた事がふたつ。ひとつは竹竿で1日過ごそうとしたら
12ft.が限界みたいだという事。もうひとつはスペイ系のラインって番手で表示するの、
まぎらわしいと思うんだけど・・・、という事。特にスカジットラインのヘッドを選ぶ時に
重さと番手の表示が併記されていると迷ってしまうのは私だけでしょうか?
子供の頃からのみこみは良くなかったとはいえ・・・。
後者については、どうやら番手より重さで表示するのが主流になりつつあるようなので、
とりあえず一安心(グラムだったりグレインだったりはするけれども)。
で、前者の12ft.ですが、実戦で使い勝手の良いスカジットラインに照準を合わせて
アクションを見直す事にしました。 まずは1207から。
[ 後記 ]
一般的にグラム表記はヨーロッパ、グレイン表記はアメリカで使われているそうです。
写真は奥が1207のデモロッド、手前がテーパーを手直しして作りなおしたテストロッド。
コンパクトな動きでキャストをするのに長いハンドルは必要無いので、少し短め。
微妙に垂れ具合が違うのですが、お解りいただけますか?
新しいやつは全体的に少し強くしてあるので、垂れが少なくなっています。
角度を変えて見ると・・・。
ストリッピングガイドの位置でラインのノリが変わってきます。 マーキングは5mmきざみ。 アセテートテープで仮留めしながらキャストしてベストの位置を さぐります。すぐ上のスネークガイドも同様にして位置出しをします。 バットセクションのガイド位置ってけっこう微妙なんですよ。 |
ほかの12ft.も確認してみたのでセットしたままですが、リールにはちがう
ラインが巻いてあります。 奥から RIO Sthd Scandi SHD Head:33ft.(10m) 450gr.(29g) AIRFLO Sskgt Cmpct Head:23ft.(7.01m) 420gr.(27.21g) Tip:13.12ft.(4m) 3M Sskgt Intmdt Head:22ft.(6.705m) 400gr.(25.92g) Tip:10ft.(3.048m) 100gr.(6.48g) 他に3M Sskgt Extrm Head:23ft.(7.01m) 400gr.(25.92g) Tip:12.47ft.(3.8m)もテスト。 |
河原に行くと強風だったり、大粒のにわか雨が降ったりして天候には恵まれませんでしたが、
何とか予定のテストをこなして(午後いっぱい3日かかっちゃいました)完成しました。 現在ラッピングが済んでモーターで回ってます。 ベンディングカーブはほぼイメージ通り。ティップが強く、ミドルとバットセクションが弓の ように曲がる、パワフルなロッドの完成です! ベースにした1207より少し重めのラインが良いようです。ゆっくりスウィープしないとアンカーが 切れてしまいます。 |
ベースにした1207は少し柔らかめで、私は好きなアクションなのですが、他の人に振ってもらうと
「これはイイや」と横に置かれてしまう事が多く、それならばと今回リデザインしました。
少し扱いやすくなったハズなのですが・・・。
止水で練習するのとは違い川で本流を攻める時は流れの抵抗もあるので、ストレス無くキャストしたいと
思うと「繊細なティップなんかいらないっ!」という発想で今回のモデルができました。
で、またデモロッドが1本増えてしまいました。試投をご希望の方は
ご連絡下さい。
[ 後記 ]
バットのガイド位置を変えて細かいデータをとったので書いておきます。
ロッド重量 : 352g(約12.42oz.)
適合ライン :
350〜450gr.(22.68〜29.16g)Floating Head 23ft.(7m) Best : 420gr.(27.22g)
アクション :
これはキャスティングスタイルが違うと、かなり評価が分かれるので難しいところです。
全体的な印象は1207と似ていてバットに入ってくる感じがあります。シャープな感じではなく、
ロッド全体がゆっくり動くような感じです。その分トルクがあって、多少の風にはビクともせず鋭いラインが飛んで行きます。
ティップを少し強くしたせいかどうか、ペリ−ポークや前置きアンカーのシングルスペイでも同じように
パワーのあるラインが出せます。一番ノリの良かったヘッドが420グレインというのは予想外でしたが。
好みにもよりますが、やっぱり「これはイイや」と言われそう・・・。
同時に製作しているのが「450gr.のヘッドを軽くキャストできる(はずの)ロッド」です。
シャフトはもうできていて、現在フェルール待ちです。今月末には格好がつくと思いますので
乞うご期待!
バーニッシュが硬化したので、とりあえず記念撮影。削りたてのコルクが眩し
い・・・。珍しく赤巻き(GUDEBROD 335 キャンディーアップル)です。
リールシートはアルミのダウンロック、スペーサーは栃の縮みです。
[ 後記 ]
とりあえず仕上がったロッドを引っ提げて、久々に利根川へ。6〜7人の顔馴染みのほかに
お初の方も。で、ラインを変えながら全員に振っていただいた結果、
1. キャステイングだけなら420より400gr.の方が良い。
2. 実釣で、インタミヘッドにシンキングのティップを組み合わせるなら350gr.が
使いやすい。
3. やはり言われました(約1名)。「少しバットに入り過ぎじゃね?」。参考にしま
す。
お初にお目にかかった方は、まだ練習中という事でしたが、振っているうちにキレイなラインが
出るようになりました。バンブーロッドはけっして扱いにくい竿ではありません。
[ 追記1 ]
ランニングラインをモノフィラのシューティングラインにしてキャストしてみました。
ランニングラインの抵抗が少なくなったせいか、同じスカジットヘッドが重く感じます。
何だか長いルアーを投げてる感じ。モノフィラを使うなら、表示よりもう1ランク軽い
ヘッドを使った方がキャスティングはスムーズなようです。
[ 追記2 ]
スペイキャストの練習を初めて4〜5年は経ったでしょうか。ここ3年くらいでやっとサマに
なってきたかなと思っていたのですが、またダメ出しをくいました。
言われた事は以前とまったく同じ事なのですが、今回は聞く側の理解力が変わっていたようで、
かなり納得。3歩進んで2歩戻りました。キャスティングが違うとロッドも違う曲がり方を
するんですね。
(右利きの場合)グリップを肩幅と同じくらいに握り、左腕(下手)でバットエンドを固定して
右腕でロッドティップを掃うようにスウィープして押し出すようなキャストをすると、ロッドは
大きく曲がってラインを飛ばします。
一方、30センチくらいの幅でグリップを握り、右腕前膊をできるだけ胴の真横に垂直に立てて
(とても窮屈)、右手を軸にして左腕だけでロッドティップを回すように動かすと、アラ不思議。
とてもコンパクトな動きなのに、ロッドはそれほど曲がっているようには見えないのに、けっこう
パワフルなラインが飛んでいきます。明らかにこっちの方がロッドの負担は軽いんじゃないかと
思えるような曲がり方です。
で、今まで聞いていた「ボデイーターンは右肩を引くのではなく、右肩を中心にして左肩を動かす」
「スペイロッドはバットが曲がらないとキャストしにくい」というような事が、一瞬にして実感納得。
このフォームを体に覚えさせるために、またしばらく練習の日々ですかね。